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Suharu Saynaka

2023年8月14日の喫茶文|展示準備室

これまでの「喫茶文」をランダムにご紹介していきます。


今日は、ワークショップの喫茶文が始まる2ヶ月ほど前の回をご紹介。

通算16回目でした。


この日の参加は、asukatto・ふるゆき・背中す春。

翌日は台風予報というギリギリのタイミングでの開催だったように思います。

まずコーヒーショップヤマモト嵯峨嵐山店さんにお邪魔してモーニングをいただきました。

店内はモーニングをお目当てに来られたお客さんたちでいっぱい。

賑わいのある店内で朝食時間をゆったり味わった我々は、その後京北の道の駅まで車移動。

ふるゆきさんに導かれて、静かな森?まで連れて行ってもらいました。

そこでは人の気配は少なくて、まだ碧々とした樹木が台風を予感させる風に吹かれてざわめいていました。

車道から小川沿いに下り、辺りを散策して、三者三様、落ち着く場所を見つけていざ執筆。


喫茶店ではなく自然の中での執筆は、私にとっていつもと一味も二味も違い刺激的でした。

喫茶店で書く時間は安堵が前提ですが、そこは自然の中ということで大分違っていました。

書き物を始めると、本当に静かになります。

音がしないわけではもちろんないのですが、人の気配が「すん...」と静まり返りますから、

自然に対して自分のちっぽけさが弱々しくて...。

何かあればすぐ動けるようにと足腰がレディな状態で作文。

すると周りの環境の解像度がぐんぐん上がっていくような気さえしました。

asukattoさん、ふるゆきさんは、どうだったかな。



8月14日の喫茶文での作からは、asukattoさんのお話をご紹介。

執筆時の手書きの作も写真で掲載します。


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喫茶文16

2023年8月14日

コーヒーショップヤマモト(モーニングB)  道の駅  京北の森


執筆:asukatto


何か視線を感じて地面に目をやると、細い魚

のようなものが落ちていた。

魚のように見えるけれど、森と言ってよい地面に落ちたそれは当然魚のはずもなく

どうやら豆の皮か何かぎ乾いたもののようだった。

丁度良い位置に穴があいていて、それが目のように見える。20センチくらいのそれは何ともいえない私好みの曲線とも顔だちで「ビーンフィシュ」という特にひねりもない

あるいは何か洗剤を思い出させるような名前を付けて、持ち帰ることにした。

家に帰ってプリンの入っていたガラス容器に挿してみた。

リビングのテーブルにそれを置いてみる。なかなか面白くて良いんじないかと、ちょっと楽しくなる。

その日の晩に夢にビーンフィシュが現れて、こんなことを言う。

「私はしっぽで立ったままだと、ちょっとしんどいの。気にいってもらえたのは嬉しいけど、こうままじゃイヤだな」

なるほど。確かに立ちっぱなしはしんどいかもと早速翌朝リビングのテーブルに紙ナフキンを敷き、その上に寝かせてみた。

色あざやかなナフキンの上に自然色のビーンフィッシュは微妙に浮いて見えた。どうだろう、これは気に入ってくれると良いけど。

その晩も夢の中で彼女はこう主張する。

「私、ナフキンはもっと涼し気なのがいいわ」


やっぱりだめだったか。、

翌朝すぐに変えてあげられるものがないので、捜しに出かけることにした。

ブルーのレース。レースはなんだか違う気がする。白+青ドット…もイマイチか。柄がはっきりしすぎるのも良くないか、、、とさんざん迷って薄水色の波模様を選んだ。

その日の晩の夢ではビーンフィシュが紙ナプキン減様の海で構嫌良く泳いでいて、私は幸せな気分になった。

朝目覚めと、ビーンフィシュに会いにいくと、ナフキンの上にその姿はなかった。

不思議とそれも分かっていた気がした。きっとどこかで機嫌よく泳いでいるのだろう。





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次回は、また別の日の「喫茶文」の様子をご紹介します。


年内のワークショップは全て終了しましたが、来年も1月・2月に開催します。

3月には展示もします。

少しでもご興味・ご関心の湧いた方は、ぜひワークショップにご参加くださいね。

ご質問はwebのお問い合わせフォームから承っております。どうぞご気軽に。


(文・背中す春)

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